工場への、特別注文
初めてのお客様、エピソード1ではラバーマット・ケトルベル・プレートを納入。続くエピソード2はスキーマシン・ローイングマシン・トレッドミル。そして最終回の3回目の納品ミッションは、スレッド、ロープ、ターフ(人工芝)、ウォールボール、サンドバッグ。
今回はどれも、注文時に在庫がなく工場への特別注文品になった。そのため、購入が決まっている少量では作ってもらえず、MOQ(最小発注数)として多めに注文し、納期も他の商品より長いことを了承の上で、ゼロからの生産になった。つまり在庫を抱える覚悟を決めた、ということ。
本来は4月内に届ける予定で早めに発注していたが、しかし工場はなかなか製作に取りかからなかった。後でわかったことだが、MOQで注文したとはいえ数量が少ないため後回しにされていたようだ。「中国あるある」である。
こちらがいくら急かしても、思い通りにはいかない。それでも中国側のスタッフが粘り強く交渉してくれたおかげで生産が開始され、その後コンテナに積まれた。しかし、ゴールデンウィーク明け早々に日本へ届くとされていた想定は大きく外れ、国内倉庫に到着したのは5月11日のことだった。納期の読みが甘くお客様にもご迷惑をかけてしまった。
ここでも、企業の看板の偉大さに気付かされた場面だった。影響力のない私1人が吠えたところで、大陸の工場は動かせなかった。
5日ある、いや5日しかない
5月16日にイベント出店がある。それまでに届けなければならない。
5日しかない。トラックチャーター便の見積もりでは送料だけで8万円を軽く超えた。単身赴任の引越しより高く、明らかに赤字だ。そして肝心におトラックも手配ができない。
しかし倉庫はラッキーなことに、自宅から車で20分のところにある。ならば、自分の車で運ぶ道を選ぼう。
アルファード、シャコタンになる
私の車はアルファード TRDのフルエアロ仕様だ。前後左右にエアロパーツが装着され、2本出しのマフラー左右にあり、そして昭和生まれなら誰しもが憧れたBBSのアルミホイール。私に似合わずやんちゃで精悍な外観。なかなか気に入っている。
ただ難点がある。コンビニ駐車場の入り口や、ちょっとした縁石があるとすぐに擦ってしまう。毎回そーっと斜めから入ってエアロパーツが擦らないように慎重に運転する。
今回の積荷は、ウォールボール16個・サンドバッグ14個・ケトルベルラック2台・スレッド2台・ロープ1本・ターフ16M1巻。総重量はおそらく200kgを超える。
2列目、3列目を占拠するターフは、想像をはるかに超える大きさだった。荷物で後部の視界が遮られ、いやでもシャコタンになったアルファードは、いつもそーっと通りすぎている縁石を「スザザザッ」と擦りながら倉庫を後にした。
シャコタン、懐かしい響き。車高が短い(低い)すなわちシャコタン。30数年前に社会人になりたての頃は、R32、Y31、シルビア、180sx、マークⅡやチェイサーといったセダン、スポーツカーをチューニングして車高を下げることがにわかに流行っていた。まさか30年以上の時を経て、私がシャコタンの車を運転することになるとは。
商品とワクワクした気持ちを乗せたアルファードは、超安全運転で千葉を出発した。

途中、静岡のお客様のジムへ
道中、静岡清水にあるトレーニングジムに立ち寄った。
今使っているウォールボールは、跳ね具合が公式機材より大きいとのことで気になっているとのこと。そこで、触って投げて気に入ったらその場でお渡しできるよう、試投用のサンプルと在庫を数個積んでいた。
実際に投げて確かめていただき、気に入ってくださった。
ご購入にあたって疑問があれば、実物を手に取って確かめてもらう。その場でお答えする。これも現場主義であり、サポートの形のひとつだと思っている。
何より、お客様と対面でお話しし情報交換できたことが嬉しかったし楽しかった。HYROXの競技としての側面だけでなく、年を重ねても体を動かすことで、楽しい毎日を過ごせる。そんな体づくりを大切にしているジムを、私は応援している。
高速道路、サービスエリアの楽しみ
仕事は仕事だが、こういう移動の道中を楽しむことも、私には大事なことだ。
コーヒーを飲みながら休憩を挟んだり、富士山を眺めたり。足柄SAの温泉、小田原の蒲鉾、静岡おでん、名古屋メシ。気持ちにゆとりがあってこそ、いい仕事ができる。ちゃんと楽しんだ。
実は、名古屋市民だったことがある
実は私、10年以上前に1年半ほど名古屋に住んでいたことがある。東日本大震災の揺れを感じたのも名古屋だった。
市民でいた期間は短かったけど名古屋メシはだいたい制覇した。味噌カツ、ひつまぶし、手羽先、あんかけスパ、小倉トースト、台湾ラーメン、味噌煮込みうどん…。独特な食文化だけど、それはそれで全部美味しかった。
ただ、一番印象に残っているのは、原駅近くにあった「中華街」という名の中華料理屋のレバニラ炒め。当時通っていた床屋のご主人に教えてもらったのであるが、レバの厚さと柔らかさが衝撃的だった。まだあるだろうか。忘れられない美味しさだった。
受注生産した商品を初めて、手に取った
満載のアルファードがお客様のジムに無事到着。全ての商品を荷下ろしして、長い一日が終わった。
そしてイベント当日。ターフ、スレッド、ロープ、ウォールボール、サンドバッグ、そしてすでに納品済みのスキーマシン、ローイングマシンを会場に運び込む。もはやマニュアルがいらないほど、何度も解体、組み立てを繰り返した。
そして全てを配置して俯瞰した。正直、感動した。所狭しとHYROXの競技場が完成したのだ。これら全て、私に注文して下さった。そして納品が完了した。この実績が最初の一歩、一生忘れない思い出。
ブランドロゴはない。でも、それだけで、あとはほぼ公式機材と同じだった。公式ブランドのロゴがついているよりも、無印良品のような慣れ親しんだ安定感と安心感がある。自分が選定した商品が、目の前に揃った。
これらの商品を使ってHYROXの厳しいトレーニングをしている場面を想像すると、とてもワクワクした。

FRNZを使ってくれる人たちへ
FRNZの機材を購入してくださったトレーニングジムがInstagramに投稿しているのを見ると、とても嬉しく、誇らしい気持ちになる。ロゴがない。それがFRNZだ。
自分が選んだ商品を、気に入ってくれて使ってくれている。それが伝わってくる。
ブランドにこだわらず、目の前のボールをただひたすらに投げている。ボートを漕ぐかのようなゆっくりとしたストロークでローイングマシンを楽しんでいる。HYROX千葉に向けて本気で汗をかいてトレーニングしている。そんなジムの会員様たちの顔がとても素敵だ。実利があればブランドがなくても大丈夫だ、と悟った瞬間である。
たまに「これはC社製ですか?」との問合わせに対し「ノーブランドです」と回答すると、それ以来音信不通になる方もいる。HYROXのアフィリエイトジムでは、公式機材を使わなければならないという決まりはない。もちろんブランドにこだわってもいい。ブランドは安心と保証を兼ね備えているのだから。ただ、映える写真のためだけに投資するなら、きっとHYROXのエントリー自体も、自分への挑戦ではなく、流行りに乗っているだけなのかもしれない。ムリしてケガをしてしまわないことを祈るばかり。
ブラジルサッカーを思い浮かべる。たとえ貧しくても、ストリートで丸いものを蹴り続けた子どもたちが、テクニックを磨いて頭角を表し、プロへと成り上がっていく。何もかもが揃っている必要はない。高額な商品である必要もない。
FRNZのお客様には、トップレーサー、プロトレーナー、コーチ、プロスポーツ選手の方もいる。自宅練習用に単品でご購入いただいている。そして公式機材を持っている方からも「何も変わらない、普通だ」とお墨付きをいただいている。
HYROXに出場して、いいタイムを残したい。そのこだわりさえあれば、FRNZは応援します。
いつまでも健康的に動ける体を作り続けたい。その気持ちさえあれば、FRNZは協力します。
お互いが支え合いながら成長できる。そこにこのビジネスの醍醐味がある。
現場は、楽しい
イベントも終わり、その日のうちに千葉へ帰還した。
エピソード1で破損していたケトルベルの補充品はまだだったが、ご注文いただいた商品の納品はすべて完了した。
トラックで送って「あとはそちらで」と言えば、楽だった。でもそれが、どうしてもできなかった。
体が勝手に動いた。その結果として、ご縁が生まれ、経験が血肉になった。
サラリーマン時代から現場主義だった。今もそれは変わらない。様々な「中国あるある」を乗り越えながら、FRNZはここにある。
初めてのお客様のエピソードは今回で最終回。
この気持ちを初心として、いつまでも心に留めていく。そしてこれからが本番。さて、行こう!
FRNZ-Fitnessでは、稲毛のショールームで実際に機材を体験していただけます。
鍛錬は本物。投資は1/3。
確信は、触れた瞬間に生まれる。
FRNZ-Fitness(フレンズ): Functional Rise & Nurture Zone
代表 田口 求弓|千葉県千葉市稲毛区


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