12kgウォールボールの重心偏りについて、正直に話す。

——起き上がり小法師になってしまう問題と、私の対応。

目次

  1. Amazon初売上。嬉しかった。
  2. 思いもよらないクレームが届いた。
  3. なぜ12kgだけ重心がズレるのか。
  4. すぐに動いた、4つのアクション。
  5. 返信は、100%だった。
  6. 今、どうしているか。

これは、FRNZの商品に関するクレームの話だ。

このBlogを始めた当初、ケトルベルが破損したことを赤裸々にお伝えしたことがあったが、今回も正直に書く。


目次

Amazon初売上。嬉しかった。

BtoC事業を開始し、4kg・6kg・9kgのウォールボールを販売開始した頃、これまでBtoBでお世話になっていたお客様から、追加ラインナップの12kgのご購入をいただいた。しかも、BtoCであるAmazonのプラットフォームを通じて。

Amazon初出品、初売上。 きちんと発送されるか、届くかの「不安」はあった。しかしAmazonのプラットフォームにオープンした私のFRNZという店で商品が売れたことに対する素直な「嬉しい想い」が優った。

そのお客様のSNS投稿で商品が無事に届いたことを確認。これまでメルカリでの販売でも不具合の報告はなく、「おそらく大丈夫だろう」という気持ちでお礼とともに「不具合があればいつでも連絡ください」とDMを送った。


思いもよらないクレームが届いた。

しかし、返信には予想外のクレームが記されていた。

重心が偏っていて、いつも同じ向きで止まる。
起き上がり小法師のように、特定の面が定まるまで落ち着かず転がってしまう。

実は4kg・6kg・9kgの販売時にも「安い中国製のウォールボールは重心がズレているものがある。こちらの商品は大丈夫ですか?」という問い合わせを受けたことがあった。しかし私のショールームにあるもの、手渡し販売してきたものにズレはなく、メルカリでのクレームもなかった。

そもそも「重心のズレ」がどういう症状なのか、まさか起き上がり小法師になるとは理解していなかった。クレームを受けて初めて、その意味が腑に落ちた。


なぜ12kgだけ重心がズレるのか。

4kg・6kg・9kgでは重心のズレは出ていない。では12kgはなぜか。

経緯を振り返ると——中国工場に「12kgは作れるか?」と聞いたところ「作れるよ」との回答を受けた。 4〜9kgのオモリを12kgにするだけ。私はたかがそれだけの仕様変更だと安易に受け止めてしまった。「できている」と「できた」と「できちゃった」は違う。実績とは何か、いうまでもない。しかし「作れるよ」という中国あるあるの返答に、私は信用しきってしまった。

私はエンジニアの端くれであり、モノ作りのプロでもある。本来なら気づくべきだった。オモリの重量が変われば、ウォールボール内部でオモリが中心にあり続けるためには、オモリの周りを構成する素材も12kgを維持できる強度のあるものでなければならない。おそらく工場は4〜9kgと同じ素材のまま作った。それが推定原因だ。


すぐに動いた、4つのアクション。

  1. クレームのあったお客様に動画を送っていただくよう依頼した。
  2. 工場に「出荷検査に重心の偏りを検査項目として追加してほしい」と依頼した。ちょうど中秋節・国慶節の大型連休に入ってしまったため、連休明けからの対応になる。
  3. 自ら倉庫へ行き、在庫1個を開梱して症状を確認した。——起き上がり小法師だった。
  4. 過去に12kgをご購入いただいたBtoCのお客様全員に、「重心の偏りはありませんか?」とDMを送った。

返信は、100%だった。

DMの返信があったお客様から、100%、起き上がり小法師になるとの回答が届いた。動画も送っていただいた。レベルの差はあれど、重心の偏りはすべての個体にあった。

ここで初めて、「安いものにある重心のズレ」とはこういうことか、と腹の底から認識した。

たとえ重心がズレていても、ロシアンツイストやツイストランジ、足に挟んでレッグレイズなどに使うだけなら実用上のリスクはない。ウォールボールとしての投擲についても——12kgはそこそこの重量なので、3m頭上の壁に向かって投げても、床に落としても、意図しない方向、軌道に跳ね返ることはなく、受け取り時に困るような状況にはならない。

しかし、置いたときに起き上がり小法師になってしまう。4〜9kgでは発生しない症状をもっているモヤモヤ感が残る。私が購入者でも同じ気持ちになるだろう。

10個中1個のハズレなら間違いなく初期不良だ。しかし全部がこの症状だとすると、工場は不良品である認識はない。歩留まり0%か100%か。

ブランクを言い訳にはできない。モノ作りのプロとして、材料選定を含めた品質の確認を怠った。これは私のミスだ。

さらに深掘ると、完成直後のオモリはおそらく中心にある。仮に出荷検査をPassし、出荷梱包時としては良品だったとしても、工場での保管や海上輸送で数ヶ月経過する間に重心がズレる可能性が高い。

時間が経っても、いかなる温湿度環境、振動に晒されようともズレない構造でなくてはならない。
モノ作りのプロからすると、構成材料の選定からの根本的な見直しが必要だ。それには材料、プロセス、完成品として様々なテストのため数ヶ月の期間を要する。オモリを入れ替えるだけ、そんな簡単なことではないことを、誰よりも知っている。


今、どうしているか。

12kgの「起き上がり小法師」でもトレーニングに使って下さるお客様は存在するため、Amazonの商品ページに「12kgは重心に偏りがある」という注意書きを追加することから始めた。

起き上がり小法師の12kgが在庫がある限り売れ続けるなら、売り切る。需要によって、起き上がり小法師を追加発注するか、重心の偏り対策品ができるまで保留するかを判断する。

工場がどこまで協力してくれるかは未知数だ。しかし逆に言えば、この難しい課題をクリアできる工場なら今後も信頼できるし、お客様にも自信を持って販売できる。

物販事業で初めて、販売する品質そのものの課題に直面した。
サラリーマン時代に散々経験したこと。初心に帰り、デザインレビューからやり直す。

今後も多くの改善が必要な商品を扱うことになるだろう。一企業ではできないこだわりを、自分のプロダクトとして世に出すことができる幸せを噛み締めながら——今のクレームにも、正面から立ち向かっていく。


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