今回のジャッジボランティアへの参加は、2日前に決めた。
ジャッジ担当のステーションは、ウォールボール。
ウォールボールを選んだ理由は三つ。
- FRNZのメインプロダクトのひとつとして、実際の競技での使われ方、公式機材の質感を自分の目で確かめたかった。
- 初めてのHYROXのジャッジ。判定基準が他のステーションより比較的明快だと感じた。
- 7つのステーションを超えてきたすべての競技者が、最後の踏ん張りをぶつけてくる場所。さまざまな競技者を見たかった。そして、支えたかった。
ジャッジとして、立つ
ボランティアは1日2クール制。前半6:00〜15:00、後半13:15〜22:30。私は後半のProのレース観戦を楽しむため、前半のジャッジボランティアに参加した。
集合は6:30ころ。レース開始の2時間前には幕張メッセに到着した。エントランスの開錠と共に他のクルーたちと一緒に、人気のない競技場を見渡してから、スタッフルームへ向かう。各ステーション担当ごとに分かれ、ヘッドコーチから流れとジャッジポイントのレクチャーを受け、ようやくステーションであるウォールボールのエリアへ移動。レップカウントを遠隔操作するタブレットの使い方をマスターし、他のボランティアさんと協力してジャッジの練習も完了。あとはゴール前の死闘を見届け、判定を下すだけだ。
競技者が会場へ足を踏み入れ、DJがサウンドで煽り、熱気が次第に熱狂へと変わっていく。いよいよだ。最初の競技者がウォールボールに到達するのは、スタートから約1時間後。それまでは周回ランを応援し、気分を高めた。
結果として、ウォールボールを選んで、本当によかった。
No Repsマシンになる
ジャッジの判定基準は実にシンプル。
- 尻が膝より下までスクワットしているか。
- 深いスクワットから立ち上がる動作のタイミングで投擲しているか。立った状態から投擲していないか。
私は知っている。ここまでの疲労や苦痛、足が攣るギリギリを。曲げたくても、体が思い通りに動かない瞬間があることを。自分は深くしゃがめてると思っていても、外から見たら全っ然浅いってことを。足首が硬く、バランスを崩さないために深くしゃがめない人がいることも。
だけど、競技においてルールブックは神様だ。
いかなる事情があろうと、競技者はルールを頭に叩き込んで、心に刻んで臨むべきである。キラキラしたSNSに憧れて軽い気持ちでエントリーした人もいただろう。ルールを知らない人もいただろう。だけど、公平性や秩序を保つには、知らぬ存ぜぬは通用しない。しっかり腰が落とせていなければ、たとえツラい顔で目が合おうがタブレットのNo Repsボタンを容赦なく押す。
ヘッドコーチの教え——「疑わしきは、罰せよ!」つまり推定有罪だ。そしてこれは競技者の望みでもある。俺はしっかりやっている、あいつのズルを許すな!なのだ。
私は人としての情を封印して、冷徹なNo Reps判定マシンへと化すところから始まった。
しかし何人もの目の前の奮闘と熱狂を目にして、そんな冷静さを保ちつづけることは不可能だった。気がつけば、腹の底から声を絞り出していた。マラソン、トレラン、スパルタンレース。数々のレースに出場してきて、応援がチカラになることを何度も経験していた。今は私がそのチカラになれる。
ゴールステージ近くはDJのサウンドやMCの声でジャッジの声がかき消される。だから叫ぶしかない!
「頑張ってくださーい!」「もうすぐゴールでーす!」
「あと半分!」「あと10回!」「5、4、3、2、1!」
ときに「腰をしっかり落としてくださーい!」と厳しい叫びもしながら、100回を投げ切った背中をゴールへ推しやり、次の競技者を出迎えた。
後から来た隣の競技者に追い抜かれる人。1投ごとに立ち止まり、息を整える人。うな垂れて、立ち上がって、ボールを持ち上げて、しゃがんで、投げる。それを繰り返す人。絶対ツラいはずなのに、笑顔を絶やさず、20分以上投げ続ける人。それぞれの競技者が、はるか頭上にあるターゲットに重いボールを投げて当てるだけなのに、それぞれにドラマを感じた。そして投げ続けることを諦めない精神にリスペクトが生まれたのだ。
私はFRNZというブランドを通して非公式のHYROXトレーニング用の機材を販売している。FRNZのお客様やトレーニング仲間のゴールの瞬間に立ち会えたことが、心の底から感慨深かった。SNSでチラ見えするFRNZのウォールボールやサンドバッグ、スキーやローイング。これを見るだけでも、トレーニングの一端を担えていると感じていた。だけど今回は本番だ。長いトレーニングの日々を胸に、HYROXのゴールゲートを目指す。私の事業の理念に対する答え合わせにもなった。確信へと繋がった。
HYROXは誰でも参加・エントリーできる競技である。競技人口を増やし、キッズからシニアまで、ビギナーからベテランまで、多くのフィットネスを通じて健康になりたい人たちへの答え合わせの場になる。人生100年時代を楽しく過ごすきっかけになる。とはいえ、ぶつけ本番のレースで無茶してケガして周囲に迷惑をかけないように最低限の準備は必要だろう。常日頃から、少しずつトレーニングを積み重ねることが、HYROXを存分に楽しみ、味わえる醍醐味なのだ。そう、本番だけがHYROXにあらず。トレーニングの日常からHYROXは始まっている。
だがしかし、ここで問題を提起する。都内や大都市にはあるトレーニング環境が、地方に行けば行くほど、無い。私が住んでいる千葉県にも無い(最近1件できた、というレベル)。この競技の盛り上がりを全国レベルに押し上げるほどの環境、インフラが圧倒的に不足している。そこで、FRNZは提案をしている。
既存のジムや、新たにジムを開こうとするオーナーがHYROXを導入しようとする。夢を掲げたはいいものの、電卓を弾いて、挫折を覚える。何もかもが高額なのだ。FRNZは機材の金銭的なハードルを下げることで、トレーニングインフラの整備を後押しし、オーナーさまの夢への第一歩になれると考えている。
お察しの通り、安価な中国製の導入である。このブログでもお伝えしてきているが、私は中国製への不安を取り除くことに力を注いでいる。興味を持たれたら、ショールームで実際に手に取り、触れてもらい、納得してからプランを提案する。必要であればオーナー様のジムまで出向き、組み立てや搬入も一緒にやる。不良があれば真摯に向き合う。機材は公式で揃える1/3〜1/2の予算で組める。浮いた予算は設備やサービス、広告に回してもいいし、機材を増やしてもいい。
大事なのはブランドや映える写真を撮ることより、質の良いトレーナーやコーチの元でトレーニングすることだろう。もちろんお金があるならば、公式ブランド機材で固めて、質の良いコーチやトレーナーと契約すればいい。だけど夢を持つオーナーさま全てがそうではない。そして、トレーニングをしたいエンドユーザーも然りなのである。

FRNZの機材で、気づいたこと
ジャッジとして大量の投球を見続けて、気づいたことがある。
- FRNZのウォールボールは、公式と遜色がない。跳ね返り、重さ、質感。ステーションで使われているものと並べても、違和感がない。ロゴがあるか、ないかの違いだけだった。細かい部分でいうと、ステッチのラインが綺麗にまっすぐだった——さすが公式というべき。
- ラン1km×8周を超えた後のウォールボールは、体感として重い。ウィメンズで4kgを選ぼうとしているガチ競技者のお客様には、6kgをすすめるほうが、レース本番の過酷さに耐えられるかもしれない。なぜなら、手渡しした時の感想が、いつも「あれ、こんなに軽かった?」だったから。
- ボールは汗まみれになる。清潔に保つには、使用後、キレイに拭き上げてあげよう。

ジャッジに前半クールを選んだ、もう一つの理由
実は、ジャッジの前半を選んだ理由がもう一つあった。
後半のMEN Pro・WOMEN Proを、観客として観戦できる。
Proクラスに出走するお客様の応援ができる。普段FRNZの機材で自主トレを積んでいる、その成果がわずかでもそこに繋がっていると思うと、素直に嬉しかった。そして言わずもがな、とにかくカッコよかった。肉体や表情、動き、全てがカッコよかった。上位を目指す皆様のトレーニングにも耐えられるFRNZの商品をもっと活用して欲しい。
1日で、喉が枯れた。声が出なくなるくらい叫んだ。久しぶりだった。そして、来年のいつか、また競技者として挑みたい気持ちにもなった。
翌日ドラッグストアに ”喉にワンプッシュ” の薬を買い、私のHYROX千葉は終わった。

こんな50代がいたって、いいでしょ?
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FRNZ-Fitness(フレンズ): Functional Rise & Nurture Zone
代表 田口 求弓|千葉県千葉市稲毛区


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