中国の展示会で、私は笑ってしまった
笑ってしまった。
あまりにも普通だったから。
中国の展示会で、そのマシンに触れた瞬間のことだ。第1回HYROX横浜大会で感じた公式ブランドのマシンと同じだった。グリップの握り心地、軌道、抵抗感、ストロークの感触、ブンブンと唸るファン。何も変わらなかった。
「なぜこれが、日本では浸透していないのだろう」
その答えを探し始めたことが、FRNZ-Fitnessの始まりだった。
そしてそのマシンの元祖が、SKI ERGだ。
SKI ERGとの出会い自体は、もっと前にさかのぼる。
香港のエニタイムフィットネス 湾仔(Wan chai)。そう、前回のブログで紹介したROW ERGに出会ったあの日。思い返せば見慣れないマシンが何台も並ぶ、アトラクションのようなジム。そこにあった天井近くに2本のハンドルが垂れ下がっているマシンを見たとき、迷わなかった。「引き下ろせ、これはそういうマシンだ」と言っているようだった。
試しに握った。上から下へ、体重を乗せながら引いた。
想像より、ずっとよく効いた。体幹から腕、肩甲骨まで一気に動く感覚。有酸素なのに、筋トレをしている感覚が同時にある。
帰国して調べたら、日本にもあることがわかった。その後HYROXを知り、気がつけば自宅のショールームにある。BtoBでの機材販売のきっかけになったのも、このSKI ERGだった。
SKI ERGは、FRNZ-Fitnessを代表するアイテムだ。
詳しくはFRNZ-Fitnessの創業ストーリーにも書いている。
2024年6月9日 Anytime Fitness 湾仔(Wan chai) でのInstagram リール投稿。ROW ERGと同じく「スキーのヤツ」と呼んでいました。

そのマシン、競技だけのものではない
「SKI ERG」という名前を初めて聞いた人は、冬のスキー競技のための特殊な機材だと思うかもしれません。
だが実際は違います。
SKI ERGは、キッズからシニアまで、競技者からリハビリ中の人まで、誰でも使える全身運動マシンです。
この記事では、SKI ERGがどこから来て、何を鍛え、なぜジムに導入すべきなのかを徹底的に解説します。
SKI ERGの歴史:40年前の「壁に打ち付けた釘」から始まった
SKI ERGの起源は、今から40年以上前にさかのぼります。
1980年代初頭、アメリカ・バーモント州でピーター&ディック・ドレイシガッカー兄弟がROW ERGを開発していました。彼らはふと考えました。「このフライホイールを、スキーのトレーニングにも使えないか」
当時、彼らが持っていたのはModel AというROW ERGと、数本の釘だけでした。壁に釘を打ち、ロープをつなぎ、最初のSKI ERGプロトタイプが誕生しました。
その後、2000年代中頃にはスキークラブやアスリートが壁にマシンを設置して実験を始めました。2005年にはディックの娘が足首を負傷した際、座ったままSKI ERGでトレーニングできることが証明されました。
これが競技者以外への可能性を開いた瞬間でした。
正式製品として発売されると、まずノルディックスキーの選手たちが飛びつきました。次に、CrossFitコミュニティが採用しました。そしてハイブリッドフィットネスレースが世界規模で広まる中、SKI ERGは競技機材としても市民権を得ました。
釘一本から始まったマシンが、今では世界中のジムにある。
SKI ERGの仕組み:「引く」だけなのに、なぜ全身に効くのか
動作はシンプルです。
天井近くに吊るされた2本のハンドルを、上から下へ引き下ろす。それだけです。
だが、この「引く」という動作の中に、全身を動かすメカニズムが詰まっています。
両手引き(ダブルポール)
両手同時に引き下ろします。より多くの筋肉を使い、有酸素運動の効果が高いです。パワー系トレーニングや競技練習に向いています。
片手引き(オルタネート)
左右交互に引きます。スキーのストック動作に近い動きです。リズム感のトレーニングや、片側ずつ丁寧に動かしたい場合に有効です。

SKI ERGが鍛える筋肉:全身マップ
上半身
- 広背筋(背中):引き動作の主役。背中が広くなる。
- 菱形筋・僧帽筋(肩甲骨周り):姿勢改善にも効果的。
- 上腕三頭筋(二の腕):引き下ろしの最後まで使う。
- 三角筋(肩):ハンドルを握る起点として動く。
体幹(コア)
- 腹直筋・腹斜筋:引き動作の起点。「引く」ではなく「腹筋で潰す」感覚。有酸素運動しながら腹筋が鍛えられる。
下半身
- 大腿四頭筋(太もも前):膝を曲げてしゃがむ動作で使う。
- ハムストリング・臀部:股関節の屈伸で使う。
※下半身は補助的な役割ですが、正しいフォームで使うほど効果が上がります。
他のマシンと比べてどう違うか
| 項目 | SKI ERG | ROW ERG | ランニング |
|---|---|---|---|
| 主な使用部位 | 上半身・体幹中心 | 全身(脚60%) | 下半身中心 |
| 関節への衝撃 | ほぼゼロ | 低い | 高い |
| 心拍の上がり方 | 急激に上がる | 徐々に上がる | 徐々に上がる |
| カロリー消費 | 約12kcal/分 | 約10kcal/分 | 約8〜10kcal/分 |
| HIITへの適性 | 非常に高い | 高い | 中程度 |
| 足の怪我でも使えるか | ✅ 座っても使える | △ 脚を使う | ❌ |
10分の全力SKI ERGは、20分の普通のジョギングに匹敵するカロリー消費という研究結果もあります。
正しいフォームと、よくある間違い
正しい動作の流れ
- ハンドルを頭上で握る
- 腹筋を締めながら、上体を前傾させる
- 体重を乗せながらハンドルを引き下ろす(ヒンジ動作=股関節から折る)
- ハンドルが膝の横に来たら引き終わり
- 腕を伸ばしながら上体を起こして戻る

やりがちな間違い
❌ 腕だけで引く
腕の筋力だけで引こうとするとすぐ疲れて効果も半減してしまいます。体幹と体重を使うのが正解です。

❌ しゃがみすぎる(スクワット化)
SKI ERGはスクワットではなくヒンジ動作(お辞儀)が正しいです。股関節から前傾させる意識が大事。

❌ 引いた後にハンドルを体の後ろへ通す
ハンドルは膝の横で止めてください。後ろへ通すとロープが乱れ、次のストロークが遅くなります。

レベル別トレーニングメニュー
初心者(まず動きを覚える)
- 500mを目標タイムなしで漕ぐ
- フォームを確認しながらゆっくり
- 週2〜3回、1回10〜15分
中級者(心肺を上げる)
- インターバル:30秒全力×10セット
- または1000mタイムトライアル
- 週3〜4回
上級者・競技者(パワーと持久力)
- 4×500m(インターバル90秒)
- 片手オルタネートで左右バランスを整える
- 他のマシンと組み合わせた複合メニュー
キッズ・シニア・リハビリへの応用
SKI ERGが他のマシンと根本的に違う点がここにあります。
足に怪我をしていても使える。
椅子に座ったまま、あるいは車椅子のまま、上半身とコアだけでトレーニングができます。関節への衝撃がゼロなので、膝や股関節に問題を抱えるシニアにも安全です。
引く強さが抵抗になるため、子どもが軽く引けば軽い負荷、アスリートが全力で引けば最高負荷になります。同じマシンが幅広い年齢・体力に対応できます。
ジムで使える場面
キッズ:
全身運動の基礎動作として/体幹を意識させるトレーニングとして
シニア:
座ったままの上半身有酸素運動として/関節に優しいカロリー消費手段として/姿勢改善・体幹強化として
リハビリ中:
下肢に負担をかけない心肺トレーニングとして/術後の維持・回復期に
ジムへの導入を考えているオーナーへ
SKI ERGは、ジムの「差別化」に使える機材です。
ランニングマシンやエアロバイクは、どこのジムにもあります。SKI ERGは、まだ多くの施設にありません。
しかも1台あれば、キッズから競技者まで、全員が使えます。
設置スペースは壁面に取り付ければ非常にコンパクト。フロアスタンドを使えば自由に移動もできます。
しかし導入コストの現実は厳しい。公式機材は高額で、複数台の導入はジムの予算を大きく圧迫します。
同等の負荷と耐久性を持つ機材を、大幅に抑えたコストで手に入れる選択肢があります。
まず実機を触って確かめてほしい。
FRNZ-Fitnessでは、稲毛のショールームでSKI ERG相当の機材「AIR SKI」を実際に体験していただけます。

鍛錬は本物。投資は1/3。
確信は、触れた瞬間に生まれる。
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代表 田口 求弓|千葉県千葉市稲毛区


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